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池上・総合学術データベース:時評欄(32);「農村と都市を見る目」2020年2月6日

都市と農村を、どのように見るのか

普通に、都市と農村を比べてみるとすれば、たいていの人々は、「農村よりも都市のほうが便利で住みやすい」というかもしれない。

例えば、買い物という点で見れば、都市には、いたるところに、コンビニがあって、買いたいと思えば、最低限度のものであれば、何でも買える。農村部では、どこにでもあるというわけにはゆかず、相当の距離を移動しなければ、コンビニを発見できない。ケ―タイも、都市ならどこでも利用できるが、農村となれば、山間部にはケータイの通じないところも多い。

また、就職ということを考えても、都市なら、農村部よりも、一時間当たりの賃金・所得が高い水準のところが多い。「農村には、仕事がなくて、賃金も安い」とは、よく語られるセリフである。

ところが、このような見方とは、正反対の見方もある。

例えば、都市は、便利そうに見えて、実は、不便で住みにくい、という意見である。コンビニはあっても、本当に健康に良いものが買えるのか。食品にしても、低所得層向けの「見栄えはいいが、栄養はない」ものも多いのではないのか。ケータイは便利ではあっても、利用料金が意外に高くつき、便利な割には、経済的負担が重すぎる。

仕事があるといっても、大部分は、非正規雇用であり、人は、「コスト」して扱われ、より低賃金で雇える人を求めて、絶えず、リストラが行われ、職場を転々としなければならない。などなど。

これらの、見方に対して、ここで、取り上げる松本郁夫氏の論文は、「ムラの豊かさから町の貧しさを見直す」となっている。これは、独創的な見方ではないか。

以下に、そのご論考を掲げる。(Ikegami, Jun ©2020)

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