文化政策・まちづくり大学

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時評欄(5)「場をつくる‘ひとびと’」2018年12月24日

「場をつくる‘ひとびと’」

地域を歩く習慣は、若いころ、身につけた。

最初は、各地の博物館や美術館を訪問して、「本物」の作品や文化財に触れることを目的としていたが、次第に、地元の方々との、人間的な交流に、関心が移って行って、今では、日本や、世界の各地に、友人が居られる。もっとも、海外の場合には、大半が「先生」であるが。

例えば、震災後、福島の山都を訪問した感動を私の身体が覚えている。それは、豆腐づくりや有機栽培農業の職人能力(=文化資本を原動力とする)を身につけられた、方々との、出会いによるものであった。

この感動は、かつて、上勝町を訪問した時、横石知二先生のご実践から受けた感動とも通じるところがあった。それは、職人能力を身につけられた方々が、後継者や家族あるいはコミュニティで働く人々の人生に新たな「出番」を開かれていた。つまり、「交流や対話の場づくり」である。

このような「場づくり」を主宰される方々に共通しているのは、各地の伝統的な職人能力に対する関心の高さと、しばしば、埋もれてしまっている「職人能力」を再生して「出番」をつくる力量をもっておられることである。そして、それを支えているのは、献身的なご努力によって、地元の方々から、「ここに腰を据えて頑張る人だ」という深い信頼感を獲得されていた。人としての誠意や、地元のことを真剣に考えて、合理的で、科学的な、提案や、実験ができること。これらも、重要な「場づくり」人の特徴かもしれない(池上惇・伊藤明洋)。Ikegami & Itoh©2018

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