文化政策・まちづくり大学

総合学術データベース

池上・総合学術データベース:時評欄(31);「個性と差異を生かしあう共通資産」2020年2月5日

人生は健康・幸福・繁栄を実現しうる貴重な財産である

 人は、人生の中で、身の回りの社会的な環境=家族関係、地域関係、交流関係、社会関係などなどから学習して、多様な力量を身につけてゆく。

同時に、この過程は、多くの人々にとっては、苦難の連続する、厳しい過程でもある。

その理由は、現代の社会環境が、家族関係や地域関係、交流関係、社会関係などに、生存競争を持ち込む動きが後を絶たないからである。

本来、家族関係などは、人類の本質として、互いの人格を尊重しあう関係、互いに学びあって、育ちあう関係を基礎としている。生存競争など、とんでもない。

ある意味では、家族関係や、地域の人間関係などは、生存競争への動きを防止しうる「保護膜」のような役割を果たす。

例えば、職場が過労死をもたらすような、生存競争の中にあっても、家に帰れば、あたたかな家族関係が待っているとしよう。そこでは、厳しい職場環境の苦しみを家族と語り合って、耐えることも出来れば、苦しみの原因を冷静に考えて、明日から対処しようという意欲もわいてくる。

この二つの世界を、人々は往復することによって、自分自身の財産として、芸術的な感覚や、学術的な知性などの多様な内容を持つ、文化資本を身につける。

国際文化政策研究教育学会では、このような文化資本を人々が身につける過程を研究交流の中で、確認しあい、学びあい、育ちあってきた。

ここに提出される報告書は、この意味では、「かけがえのないもの」である。

今日は、その中から、昨年以来、みんなの、共通の財産となった、学術論文をご紹介する。((Ikegami, Jun ©2020))

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