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総合学術データベース:時評欄(77)ホ-ムペ-ジ用;池上惇「研究・教育と経営-経営 人の新たな課題」

発明に基づく開発を経営の礎に

 

 2022年5月19日付『日刊工業新聞』は、4ページ全面に特別企画を掲載した。

大きな見出しは、「発明に基づく開発を経営の礎に-屋根とともに進化する 元旦ビュ

-ティ工業」であり、対談は、同

社会長兼社長 舩木元旦氏、日刊工業新聞社 社長 井水治博氏であった。

この対談において、注目されるのは、舩木氏が、「企業を興すにはまず技術、特許しかないと考えていました。田舎から兄を追って板金職人の道へ進んだのですが、すぐに下請けの限界を感じました。」当時は「腕さえあれば独立できた」かわりに、独立した零細事業者同士の競争が激しくて、原価計算をする暇もないくらいに過酷な「価格競争」に追い込まれてしまう。

そこで、舩木氏は20歳代前半に、「職人たたき上げ」の経験から「技術で付加価値をつける」経営者の道を歩まれた。

さらに、舩木氏は職人としての経験を生かせば、板金の仕事だけでなく、「こうした方がいい」という、「発明や経営についてのアイディアがわいてくる」こと。これがわかった、と指摘されている。

そして、このアイディアを顧客のために生かせば、原価を正確に計算してご納得いただける価格で創造的な技術をみなさまの生活に生かしていただけるのではないか。

発明に関する、アイディアを、特許権にまで高めて、公正な競争の秩序を生み出そうとすれば、特許の申請件数も増えるし、他社の追随をゆるさないほど、水をあけることに成功すれば、永続的な経営も可能となる。

 

発明と経営のノウハウを総合化するには

 

その上に、同社は、職人層を永続的に厚くする、経営ノウハウともいうべき、独自の工夫を実践された。それは、消費者に発明の成果物を正確に届け、正確に施工するための「独自の仕組み」の創生である。

この「仕組み」とは、販売代理店の「全国元旦代理店会」、施工店の「全国元旦会」を組織する画期的な実践であった。これらの会組織は、40数年の歴史を持つ「職人の集まり」であり。定期的な研修を行い、約700社、約8000人を擁し、全国どこでも、くまなく、責任施行できる体制を消費者に提供してきた。いわば、研究開発の成果を受け止める共通基盤の構築である。このアイディアも、経営ノウハウにおける発明であろうか。

製品の研究開発だけでなく、経営上にも、創造的なアイディアを生かす経営。

これは、画期的な構想力である。

これらを、お一人で実行できる実力には敬服のほかないが、最近の経営学では「集合知」という考え方も普及していて、「智慧を出し合う研究や経営のノウハウ」が注目される時代でもある。このような道もあるということを念頭に置きながら、「発明と経営」合一の経営人について考えてみることにしよう。(©Ikegami,Jun.2021)

 

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